各ルートの感想はそれぞれ書いたので、全体を見渡しての感想を書いて
みようと思います。
軽くネタバレしているのでご注意ください。
えーなんというか、今回は世間とは逆の感想かもしれないなと。
クリアしたのでよそ様の感想を拝読させていただいているのだけど、
山ほどダメ出しされてつまらないと言われているところがさっぱりわから
ないという状態に。
いやだって、むちゃくちゃ楽しめちゃったもんよ。ダメ出しされている部分が
悪いところなのか私にはわからんのです。気にならなかったから。
面白かったんですよ。がつがつと遊ぶくらいに。久しぶりに集中して
エロゲを遊ばせてもらいました。
音楽は曲入りのタイミングと選曲はあっていて、ここぞってところで
盛り上がります。曲自体も好きだ。
キャスティングもキャラクターとあっており違和感はありません。声優の
演技やイントネーションの妙もあって、キャラの掛け合いに涙出るほど
笑ったよ(笑) ベイルがいいね。ちょっとないくらい魅力的だ。無機物萌え
しちまう。
システムはおおむね安定。公式で修正ファイルが配布されているので
それをあてれば問題ないでしょう。私は普通に動きました。
フルインストールでディスクレスプレイ可能。気持ちよく遊べる仕様だ。
カットインは大幅強化。カットインというよりも漫画のコマ割りという印象。
かなり動きがあります。カットCGの量が多いせいか1枚絵のCGは少ない
感じはする。カットCGはギャグだけでなくシリアスで重要な絵も多いので、
CG全体量としては少なくはないんだと思うのですが。
立ち絵がなぁ。体験版でみたときは立ち絵のバランスがどうしてこう
悪いのかとハラハラしたんですが、見ているうちに慣れた。このへんの
意見は体験版感想に書いているので参考までに。慣れたけどおかしい
もんはおかしい。イベントCGは普通の絵です。立ち絵だけがどうも……
カットスロート、ベイル・ルダ二挺拳銃、ギュスターブラストあたりがお気に
入り上位3点。カットスロートとシドラスト(二挺拳銃も?)は同じ人が塗って
いるのかなーとか勝手に推測。
ミニキャラは狙いたい場の空気は出せていたと思うのでいいんじゃないかと。
もっと上手く描けるのならそれに越したことはないが。
ヴァレリアルートではギュスターブが。雪ルートではレイスとガラが。
セルマルートではセルマとリックがよかった。
「お嬢様と執事」がキーワードであるようなので、セルマ以外のヒロインの
影は薄い。しかしルートヒロインを取り巻くサブキャラがステキに活躍して
いるので没問題。ギュスターブ戦がお気に入り。
セルマルートがあれやこれやの問題に決着をみるメインルート。
セルマルートは他ヒロインルートをこなしてからでないと遊べません。
各ルートを遊んでいて感じたことをストーリーの進行にそって書きだし
ながらプレイしたのでまとめておきます。ヴァレリアルートの5番と雪ルートの
1番は重複しています。雪ルート途中感想の下にヴァレリアの感想を載せて
しまったためです。セルマルートの感想が1つしかないのは一気に遊んだから(笑)
ネタバレありですので注意。
ヴァレリアルート→ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・5
雪ルート→ 1 ・ 2
セルマルート→ 1
キャラクタがほぼ全員過去になにかしらの問題を抱えているという設定
なのは、バランスが悪いという気はする。気はするがこうも揃えられている
とわざとやってんのかとも考えてしまう。そのわりには揃えたことに対する
効果が見られないのでたまたまなのか?
それと「記憶が失われていく」という現象が各ルートにあって、こいつが
恐ろしくて哀しくてハラハラする。ハラハラするけどもっといじめてもよいかと。
ハードな練習風景とかもっとこう、血と泥でボロボロになった絵があっても
いいかと思うんだ。文章ではあるんだけど絵でも見たかったね。
過去のある瞬間に決定的な問題があり、それゆえに、それゆえの道を
選んだキャラ達の話しなので、頻繁に過去回想が行われます。過去回想で
テンポが悪くなると感じる人は覚悟して遊べ(笑)
あれこれネタフリはあるものの、出てきただけでろくすっぽ使われない
設定なんぞもあるのでそのへん気になる人も注意。物語に乗れたのなら
気にならなくはなるが。
あとしゃべり言葉が堅苦しすぎるかな。主人公が礼儀正しい穏和な執事
という設定なのと、みな職業人ですので相手のことを立てたしゃべり方には
なるのだが、人にしゃべらすとちょっと変だぞという言葉遣いになる。
「むろん」とか。
このへんの設定はバトルにも影響を及ぼしているのか、戦闘がバカみたい
な(悪い意味ではなくて)熱血バトルではなくて、いや、そういう要素もあるの
だけど、なんというかこう……こう……淡々としているというか。盛り上がら
ないわけではないんですよ。
上手くいえない。少年漫画的なバトルではないなーとは感じた。敵にも敵なり
の事情や信念があって、憎くてぶつかっているわけではないからかな。
そういう戦闘の中にあって突然少年漫画っぽさが差し込まれ、「うっ」ときた
場面はあるが。
世間の評判をみると楽しめるかどうかのキモは世界に入り込めたかどうかに
かかっている気がする。入り込めないととことんだめ。外から眺めて楽しい話、
作りにはなっていないかと。
制作側も世界に引きずり込むように、キャラなり構成なり工夫して作って
いるはずなんだが、それが上手く機能していないんじゃなかろうか。
あれだけ同じようなダメ出しがある背景にはなんかあるんだろ。
私はたまたま上手いこと世界に入り込むためのゲートをくぐっちゃった
もんだからそのへんよくわからない。ちょっと作りが雑だなという部分は確かに
あって、そのへんはもったいなく思う。が、物語に乗っかったもんだから面白いと
思えたし、その話で活躍するキャラクターたちに愛着を覚えてしまったのでした。
各ルート感想でも上げていますが、セルマ以外のヒロインを追いかけて
いるときでもセルマとのやりとりが光って見えるんだ。煽られまくり。
セルマの執事であるリックが主人公ということになれば、そりゃー「私の
お嬢様」が一番輝くというもの。主従萌え属性持ちの私には、心臓に
杭を打ちこまれた吸血鬼のごとく致命傷をあたえるふたりなんであったよ。
リックがきちんと執事しているのとエロゲということもあって、主従萌えの妙
(我慢ならんのじゃーというアレ)には欠けるきらいはあるが、「忠誠心と
愛情が重なってんだよどーすりゃいいのか」という設定になっているので、
そのへん薄くてもそこそこおいしくいただけます。
というか、リックとセルマに関してだけでなく作品内での成立カップル
全員にいえるんだけど、なんかえらい勢いで乙女回路がまわる。エロ以外で。
エロはあれだ、男の思考が地の文に組み込まれるから女の独り言状態
になってときめかない。(エロゲ的には正しい。そこに文句はないです。
これはあくまでも感想。)
いやしかし正直こんなにきゅんきゅんさせられるとは思わんかった。
ラブっちい場面に何度ローリング床ったか知れんわ。
これ書いたのって東出さんか? エロゲシナリオは助っ人が入ることもある
らしいからな。いやしかしこれは……いったい東出さんは前作からの間にどこで
どう修行を積まれたのか(笑)
つまるところキャラに愛着を持ってしまったし話もバトルも楽しみました。
眼鏡っ男のハーフエルフ執事がいじられキャラをしつつ決めるところは
決めてお嬢ラブ。普段はきりりとしたお嬢は執事の前でだけ普通の女の子の
顔を見せますゲームって、どんだけ私のニーズに合致してんだよという話し。
リック×セルマがたまらん。私にとっては神が使わしたホーリーアイテムばりの
1本であったのでした。
あとは眼鏡を光らせるリックやセルマの着衣エロがあったらよかったと
思います(笑)
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