◆タイバニと軍靴のバルツァーの感想は後日。
とりあえずレッド・バロンの感想から。
RED BARON感想
ドイツ版の予告を観たときからずっと観たかった映画で、やっとこ日本公開
されたってんですっ飛んで観てきました。
ドイツでの評判はイマイチどころかイマサンってことであまり期待しない
ようにして観にいったせいなのか、そんなに悪くなかった気が。
映画「レッド・バロン」公式サイト ―2011年5月21日(土)より、丸の内ルーブル他全国順次ロードショー
※主要都市では上映するようです。
実在のエースパイロットであるマンフレート・フォン・リヒトフォーフェン
(通り名のひとつがレッドバロン)の物語で、史実をそこそこ踏まえつつ
年齢相応に思い悩み恋もする青年を描いたってところでしょうか。
次々に失っていく仲間たちとの悪ガキのようなやりとりもあり、青春映画の
ようなシーンもあります。戦争映画ではなくリヒトフォーフェン映画。
ただコマ割りとかコマ運びのうまくない漫画を読んでいるときに似た印象は
持ちました。Aシーンに続くBシーンとのあいだに、もうひとシーン(もしくは
セリフ)いるんじゃないのっていう。
なのでキャラの心情や状況を読み取るのに若干想像力がいる。
だっていつの間にか主人公が乗ってる機体が複葉機から三葉機に
なってるんだ。
フォッカーの形が変わるのはあとのセリフでフォローがあるんだが、
全体的に……なんだろうなぁこれ。
字幕の文字制限とか編集がいまひとつとか、そういうのが原因なんだろうか。
あきらかに場面が飛んでるよな? 「その間を描けよ」と何度思ったことか。
リヒトフォーフェンに対する知識があればもっとイケるのか?
正直なんの思い入れもない方にはお勧めできない映画だ。ハリウッドへ
売り込むせいで、ドイツ映画でドイツ人の話なのに英語でしゃべってるしな(笑)
ただこの映画のキモというか私が期待していたのは物語よりもレシプロ
飛行機でありドッグファイトであり当時の風俗だったりするので、そこは
鼻息荒くして楽しめました! めっちゃ楽しめましたあああーーーーー!!!!
ああもういい。最高だ。(レシプロ複葉機好きの欲目)
いやうん、当時の軍備とか風俗とかきちんと知っている方には粗も見える
のかもしれないのだけど、ろくすっぽ知らない私には嘘が嘘だと気づけない
わけでまるっと楽しんでしまった。
FRY BOYSよりもガチに空冷エンジンを拝めます。複座の戦闘機も出て
くるし機銃の装填シーンもあり。パイロットたちの好き勝手な服装を楽しめ
ますし、軍服革手袋ロングコートも拝みたおせます。みんなサスペンダーです。
デートにさそったりなんかもあるので改まった服装も出てきます。
ずらっと並んだ高射砲と歩兵の進軍とかかっこよすぎだろう。
当時のベルリンの活気を見て取れるシーンもあって、人やら馬車やら
車やらでごった返していて雰囲気よかったです。
テンション上がったといえば映画の冒頭のつかみは最高でした。
敵パイロットの埋葬時に空から哀悼の花を投下するんですよ。花の投下は
敵に敬意を払っての行為。この時代には騎士道精神が残っているとわかる
シーンで激渋。かっけー。この時点で飛行機乗りにハート掴まれますわ。
この冒頭5分はYahoo!の映画コーナーで配信しています。
レッド・バロン 映画/ 作品情報 – Yahoo!映画
ただ空戦部分はFRY BOYSよろしくなにが起こっているのかわかりにくい。
ろくな知識がないと空飛んじゃうと誰がだれなのかわかりにくさMAX
であるよ。ノーズアートっていうんですかあれ。機体に個別の絵をペイント
するやつ。これとか機体そのものを塗ってても、誰がどの色なのか覚える前に
シーンが進んでしまうのでどうにもならん。
一次大戦期のドッグファイトを描くとこうなってしまうものなんだろうか。
昔の映画も観てみるかなぁ。
空戦シーンが少ないと言われているみたいですが、私は少ないとは
感じませんでした。ただ多いにこしたことはないよなw
まぁあれだ。残念無念なところもてんこもりなんだが、たぶんこの映画は
ドイツがハリウッドにも売り込むそと意気込んで作ったはいいが、
できあがったら自国の英雄萌え燃え二次創作映画になっちまったぜ!という
ものなんではあるまいか。
以下ネタバレありなので各自自衛をお願いします。
いやもうすごいんですよこれ。ざっくりと箇条書きしてみる
・どんなふうに女を口説くのかは重要な萌え要素。娼館にもくりだし
ちゃうぜーと悪ガキ具合を発揮するも、お店のおねーちゃんには手を出さない。
・気になる従軍看護師に果敢にアプローチするも相手にされず(むしろ
相手からキレられる勢い)、デートにOKもらえたら頭に包帯巻いてでも
ディナーに行っちゃう。(めっちゃ目立ってます)
・彼女からダンスに誘われるも下手くそなんでって廊下で踊る。しかも
トイレ前で出てくる人には顔を向けないようにするという用意周到さ。
・帰り道で「怪我したらデートOKもらえた。怪我してラッキー」と幸せ
アピールしたところ、看護師の逆鱗に触れて病院へGO! そこで地獄の
ような病床を見せられて大ショック。
・「これからいいところっすよ!」と彼女を押し倒したところで敵襲
くらってお預けというトホホっぷり。
・自分は英雄と祭りあげられ死ぬこと厳禁なのに戦友はガンガン死んで
いき超しょんぼり。そこを弟に叱咤される。心配されてますね兄ちゃん。
・そんな弟とじゃれあって遊んじゃう男の子っぷりも発揮。
・こんなに萌えキャラっぷりをさらしているのに、最後は女より空を選ぶ
あたり、やっぱり空の男はこうでなくっちゃなぁ! という男前かげん。
以上ネタバレ終わり。
パっと思いついただけでもこれだけあるんだよ……見直せばもっと
出てくるに違いない。
実在の人物の履歴をもとに、同時代にすれ違っていたかもしれない
人物を交え、「こういうことがあったかもね」という勢いで作ったその……
二次創作というか。そんな印象。
萌え優先なので自国での評判は「こんな萌えキャラじゃねーよ」という
感想になる(笑)
最初に述べたように映画として人には勧められないデキなのですが、
一次大戦期のレシプロ複葉機ドッグファイト映画なんてそうそうないので、
このあたりが好きな方は観ると大吉。日本語版Blu-rayやDVDは出ないかも
しれないしな……
ただ史実が上手いこと料理されているわけではないので、ねじ曲げが
我慢ならんといらつく可能性が高いかと。そこは注意です。
詳細を見る