牙狼21話感想
・持ち上げられてはどん底にたたき落とされるというコンボ攻撃が続いて
おります。もう大丈夫かと思ったんだが、メイン二人へのこれでもかという
試練はまだまだ続く。
今回はなんと8話「指輪」のその後を描いた話。8話で登場した女性キャラの
父親が、番犬所より力を授かり鋼牙の復讐を挑むというもの。父親役に
森本レオさんを配置して、いったいどういう仕上がりになるのかと思いきや……
なんか魔戒騎士の業をみたかんじだ。
ホラーに喰われた人間を殺すことが仕事ではあるが、喰われた人間にも家族が
いるわけで。ホラーに憑依された状態は辛く苦しい状態との設定なので、楽にして
やることがやさしさなんだってのはわかるんだけど、どちらにせよ殺すということには
かわりなく、残された人間は大きな哀しみと痛みを覚えるわけです。
それを承知して背負ってこその魔戒騎士ですよと。
で、今回はその残された人間から偽善者と叩きつけられるわけです。
ことの当事者に真っ正面から言われると、覚悟完了していてもこたえるんじゃ
ないですかね。間の取り方見せ方からそんなふううに受け取れました。
父親はホラーに喰われたわけでなく人間をホラー化させる弾丸を持って鋼牙に
攻撃をしかけてくるわけなので、物理的には人間です。なので鋼牙は最初父親を
斬らずに終わろうとする。家族を殺され哀しみ憤る感情が芽生えるのは、人間と
しての心があるからなんでしょう。心が人ゆえ鋼牙は父親を斬らないんだろうなと。
最終的には娘と同じホラーに無理矢理喰われ、喰われることをの哀しみや
苦しみを身を以て体験し、鋼牙に殺されることを望むのですが。
ここで手を下さねばならない鋼牙も苦しいわなー。
父親は鋼牙を正義のもとに殺人を犯す偽善者と罵るのですが、父親も関係の
ない人間を犠牲にして復讐をしようとしているんですよね。それが道徳的にNGな
人間だとしても、犠牲になった人にも父親のいう家族や人間関係があるわけでして。
そこを見てしまうと鋼牙を偽善というオヤジも同じ穴の狢やんとなるのですが、
私はそのへん気になりませんでした。
父親がぶちまけたかったのは魔戒騎士の偽善ではなく、あくまで鋼牙への
恨み辛みなんでしょうから。そこをつくために出てきた言葉のひとつなんだと
受け取れたので、気にならなかったのですよ。
人の感情を描いたのは17話「水槽」も同じはずなんですよ。あれも愛情ゆえに
関係のない人を巻き添えにしていく課程があるわけなんですが……
今回の話とはどこか違う。違うのだけど、感覚としてピンときたこいつを上手く
明文化できません。ちょほー。
ホラー化した父親を斬るために近づくガロの絵がとてもよかった。ガラス越しに
ホラーが映るところがもの悲しさを煽ってます。
あとケレン味の強いロケーションも面白かったです。父親との対決場はホール
に幕を張っていて、カメラのアングルのせいもあってか天井が低く見え圧迫感が
あるのです。
そして幕の向こうから砲があり父親が出てくる。そこから父親が出てくることは
読めるのですが、幕が開く仰々しさはなかなかに劇的でした。開幕されることに
より天井が高くなったように感じ圧迫感がとれ、ホールの空虚さが現れたのも
よいかと。
画面も印象的でしたがアクションも気張ってます。いやー今回はかーなーり
素敵でしたよ。ロングコートを翻しての弾丸そらしと剣での弾はじき。弾いた弾丸
を利用した攻撃と、壁を蹴って部屋へと飛び込む行動がかっこいいのなんのって。
転倒にいたる所作のひとつひとつが気持ちよくて実によかった。
鋼牙の技術ゆえにただのコートが楯になり武器になるのか、それともコートが
特殊な素材でできているのか。トライガンのヴァッシュが着ていたコートを彷彿
させられました。コートを使ったアクションは新鮮で気に入っています。
あとザルバがまた活躍。鋼牙が土手っ腹にくらった弾丸を口ではさんでがっちり
ガードですよ。「顎が外れるかと思ったぜ」というセリフもザルバらしくおちゃらけが
入っています。
父親があっという間に改心してしまったあたりはもう一拍ほしかったのだけど、
ちらっと映った封印砲(未来忍者)など気がついた人にはニヤリとできるサービス
をも盛り込んだ21話、面白かったです。
ここから先は「今週の鋼牙とカオル」コーナーです(笑)
諸君!
赤飯を炊く日が来たようだ。
鋼牙の気持ちは先週まででよくわかったが、カオルがどう想っているのかは
明確にされていなかったんですよね。ですが今週のやりとりを見るかぎり、これは
落ちてるなと。よかったな鋼牙よ、相思相愛だぞーっていうか、ここにきてカオルの
「鋼牙の行動から気持ちを読みとる技術レベル」が上がったらしい(笑)
何も言わなくていいのってのは、言わなくてもわかっているということと、言わ
れてしまうと少しだけ怖いからなんだろうなぁ。カオルの中ではチャラになっている
みたいだ。
ここの鋼牙の表情と態度が見物。この人「ありがとうね」と言われてまたどういう
顔していいのかわからなくなってますよ。わかってもらえたことに対する嬉しさと、
言わなくてはならないことを「いいの」と遮られた戸惑いと、言わせてもらえない
という苛立ちがごっちゃになっており、そしてもしかしたらぐっときちゃってますかー
というかんじがした。それゆえに一人ずんどこと先に行ってしまったのかなと。
いろいろ混ざりすぎです(笑)
物語冒頭にカオルの描いた絵を「育った場所に似ている」と気に入って購入する
鋼牙がみられるのですが、今回は実際その場所にカオルをつれていくという
入籍する気満々な流れに。鋼牙はこれを無計算でやっているのがオソロシイ。
こんなところで肩を抱かれたら、女も覚悟を決めるしかなかろーて。
天然のやることには勝てん(笑)
その上笑顔です。いつもは眉間にしわを寄せた厳しい表情しか見せてこなかった
男が、なんともまぁ穏やかな笑顔(鋼牙にとってはあれが笑顔だろう)を浮かべて
いることよ。
カオルがなー、肩を抱かれて驚いたような顔をするんですよね。そら驚きもするし
次第に笑顔にもなろうさ、なろうともさ。気持ちが通じ合ったあとの明確な愛情表現で
あり、お互い素面での意味のあるスキンシップってこれが初めてですからー!(笑)
だぶんそうだったはず。
あー幸せ。ものっそい幸せだ。二人の行く末に一喜一憂して大騒ぎしていた
あの日は終わった。明けない夜はないんじゃぜ!
カオルが「おかしいと思ったんだ」というしゃべり方がかわいくて好きです。
そのあとよろけて抱き留められて(ここすごい流れだよなぁ。めっちゃベタですやん。
だがそれがいい)鋼牙を見上げるカオルがかわいくてそれでもって綺麗なのね。
リピートして見返してしまったよ。私だったらほっとかねぇ!(どうする気だ)
その後せせらぎを渡るシーンになるのだが、この情景のなんと少女漫画な
ことか! ずんどこ先行く鋼牙がカオルがちゃんとついてこれているのか確認
してますよ一拍待ってますよ優しさですよ! そのときコートがふわりと翻るのが
どうしようもなく絵になっている。これは狙って撮ったのかたまたまなのか。
この翻りがあるのとなしのとでは絵としての完成度が違う。
そして少し危なっかしい足取りで追いかけるカオルという、これでもか! という
ろまーんな情景です。カメラが引いているうえにぼやけた画面できらきらしてる。
そして顔を見せないのがまたニクイんだな。
いやもうすごいってこれ。ベタなんだけど綺麗で絵になっておそろしく萌える
シーンだったですよ。こんなリリカルな絵が撮れるって、横山さんはアクション回路
以外に乙女回路でも持ってますか(笑)
幸せ一杯夢一杯と夢心地でいたところにまたすさまじい爆弾が。
なんですかそのカオルの首筋に現れた紋様は。
なんですかその次回予告は。
20話でヒロイン退場はないよな。じゃあ強大なホラーの依り代になるんでね?
とか妄想ぬかしてたんですが、TV番組表の次回予告を読むかぎり、どうやら
やっちまったらしい。
なんかね、もうね、まだまだ安住の地は見えてこないらしいよ。伝説の
ヴィンランドは遙か遠く、捕捉したと思われた陸地線は幻と消えた。
鋼牙×カオル者の約束の地への航海は果てなく続き、海はまだ嵐の中。
祝い戦隊セキハンジャーを憂いなく出動させたいんです。タノムー。オロローン!
以下次週の地上波デジタル番組詳細内容です。ネタバレなのでリンクで
隠します。