グランディア3をクリアしました。発売日に買って気がつけば季節が変わって
いたよ。グラXのときは長時間プレイを余儀なくされるシステムのおかげでクリアは
遠くなり申したが、3はセーブポイントの配置がたいへん上手く、時間はかかって
もクリアできました。
戦闘システムを含めシステムまわりはとてもよくできていると思う。
爽快かつ戦略性のある戦闘システムで、私はXの戦闘特化型システムより
気に入っています。Xはやりこみ要素はあるものの、普通に進める限りでは
必殺技が多岐に渡りすぎていてストレスになっていたので。
色々な必殺技を見たくともやりこまないと見られないんじゃなぁ。
エクストリームのシステムもいいものではあるのだけど、必殺技開拓に時間
をかけることになり、グラ3のような物語重視系とは相性が悪いんじゃないかと。
この物語指向スピードを妨げないで、かつ面白い戦闘システムになっていたと
感じています。
とにかく空中コンボ万歳。こいつがパーティ全員分繋がると興奮のあまり
変な脳内汁出そうになる(笑) きちんと狙って出せてダメージ増加気分爽快。
アイテムドロップ率もあがるというステキシステムだと思います。
セーブロードも短い。魔法やスキル、道具の説明も使用時に表示されるので
使いやすいです。イベントシーン、ムービーへの切り替わりはちっと長い時も
あるのですが、私はここは気にならないんで問題なし。
装備魔法は自在に変更可能で、キャラクタによってかけ声が変わります。
それを聞くのも楽しいです。
魔法はマナエッグの合成という、これまたグラXでは時間を取られたシステムを
継承しているのですが、今回はそう苦にはならず。マナエッグの取得率が高く、
合成失敗を恐れずに合成できるのがいい。新魔法にわくわくすることに集中
できるので、ときめき度が高いです。RPGにおいて新武器新魔法へのときめき
は重要ですよ。
音楽は気に入った曲はないものの、気持ちの良い曲がそろっており悪くはない。
歌はグラ2に引き続きとてもよいです。
マップが狭く感じるものの、飛行機で空を自由に飛べるのもいいです。
スピードを出せば雲を引きますし、宙返りもできます。天気も変わるところも
気に入っている。あとは昼夜が変わればよかったのですが、それをやって
しまうと時間の経過を感じてしまう可能性があるので、そのへんを考慮した
のかもしれない。
無線で会話を拾えるものいいです。この会話にものすごくいいシーンが
あるのですよ! 後述します。
最初ぶうぶう言っていた声ですが、聞いていくうちに慣れました。演技はぎこち
ないので盛り上がりに貢献はしませんが、萎えまくりとまでもいかず。
女性陣が辛いねぇ。声の抑揚からあまり感情を読みとれないかな。ヘクトは
希望をなくしたキャラなんで、逆にはまってたかと。ただ希望を取り戻した状態に
なると辛い。
男性陣はみんな上手で安心してきけます。とくにエメリウス。何も知らなかったら
声優さんと思ってしまいそうです。
グラ3は声で萎えるとか盛り上がるとか色々ありましたが、それ以前に駄目部分が
あるので声なんかは些細な問題ですよ。
駄目所は情報伝達部分なんで。
シナリオは悪くないと思うのですが、演出も含めて情報伝達に問題がある。
物語指向のRPGでこれは痛いよな。
伝えるべき情報がムービーやセリフ、イベントや間によって伝わらなかったのが
最大のしょんぼり部分と判断。
いわゆる大人の事情ってのは色々あると思うのですが、それを考慮していると
何も言えなくなるので、ここから先はそのへんはすぽーんと抜けて書きます。
自分の逃げ道を作ることになりますが、あらかじめ断っておきます。
ここから先は素人の考えで、あくまでも個人的な「感想」です。批評ではありま
せん。
なんでもかんでも説明してしまうのはヤボって意見がありまして、私もそう
思います。ある程度想像の余地があったほうが楽しいし、遊び終わったあとも
楽しめるからです。
そう思ってはいたんですけど、ことゲームにおいてはそうでもないかもなぁと。
映画やアニメ、漫画、小説ではさきほどのシーンを繰り返し見るということが
可能です。映画やアニメはちょっと難しいけれど、ソフト化すれば可能ですし、
小説漫画にいたってはページをめくれば確かめたいところにひとっ飛びです。
何度も反復することに手間暇はほとんどかからないんですよね。
で、じっくり考えられる。
けれどもゲームってのは見たい場所へたどり着くのに踏む手順が膨大
なんですよ。直前にセーブしてあればいいけれど、イベント毎にセーブデータが
あるわけではないし、ちょっとしたミニイベントも多い。
再び見たいイベントがあるならば、基本的には最初からやり直すしかないので、
確かめたくともすぐには確かめられない。
そういう媒体においては野暮でも説明なさすぎよりあったほうがいい、
そう痛感した作品でした。
グラフィックはとても綺麗になりました。空気の透明感すら伝わってきそうな
背景に空、SEも効果的に入り、人物芝居もCGで伝えられる情報量が格段に
増えています。それでも、それでも今回は伝わってくる情報が少なすぎた。
そのためにキャラクタの行動に説得力がないんですよね。説得力も納得も
なくとも、やたら盛り上がってそういう説明はいいんだ! 感じろ! という
パワーがあればそれはそれでいいんです。そこまでいくと勝手に行間読みを
するし妄想も逞しくなります。少なくともそのシーンからは、キャラクタの勢いや
激しい感情を受け取ったことになるので。
行間を読む妄想する、それは楽しみのひとつではありますが、そうしたいと
思わせるものが生まれない限りできませんししません。キャラクタに興味や
愛着を抱いたり、物語に引きがあって出てくるものなので。
今回はイベントがあっても噛みしめることもなく、右から左へとするっと抜けて
いってしまった。
キャラクタに対する愛着が育つだけの溜めがないんです。アルフィナは常に
先を急いでいるわけじゃないですか。寄り道している時間はないので、遊びの
部分がないんですよね。ゲームが始まってすぐに物語本筋に突入してしまう
構成なのも、溜め所を作れなかった原因なのかなぁと。
溜めといえばキャラの感情の動きにも溜めがなく、みんな素早い切り替えっ
ぷり。さっきまで泣いていたのに一瞬で笑いに変わってますよコイツみたいな。
話しも感情もぽんぽんと進んでしまいすぎです。一拍おくだけでも違ったん
じゃないだろうか。
イベントで拾える情報も少なく、そのためキャラが何を考えているのかも想像
しにくくて、イベントが唐突に起きているように見える。この人いきなりなんか言い
だしたみたいな。
いきなりなんか言い出したキャラ筆頭はエメリウスのラスト周りだな。
すげーな兄さん、超開眼っぷりだよと大笑いでした。
情報公開の順番を入れ替えるとよかったんじゃないか、そんなふうに感じる
部分もありました。デュンケルがダーナの前に現れるのはヨウトのところへ
行った後のほうがいいとか、アルフィナがバース界の噂を、現状を認められない
でぶち切れるところとか。
で、そんな情報の欠落を埋めてくれるのが小説版ってところですよ。
文庫1冊にまとまるようにイベントは選択されており、それにより設定の変わって
いるキャラなどいますが、メイン設定や心の動きが明らかにされていてすっきり
します。コーネルもちゃんと補完されている(笑)
文庫半分ぐらいまではいい調子で書いてあるのですが、後半は駆け足になり
脚本テイストが強くなるのと、句読点の多さが気になるところと言える。
だがゲーム本編でのもやもやが解消されるのは貴重だ。
この辺の説明のなさ具合には正直どうつっこんでいいのかわからないくらい
トホホなんですが、もちろん良いイベントもあります。
ミランダからの巣立ちイベントとエメリウスvsデュンケルバトル、アルフィナ
精神世界、そして無線少年デルタ。
ミランダとの別れはジーンとくるね。頼りになるしっかりものの母親が、寂しさ
や心配や頼もしさの入り交じった感情で、いてもたってもいられなくて滑走路を
走ってくる。ミランダの愛情を一番感じたシーンでした。
アルフィナ精神世界は音楽がよかった。静かに流れるオルゴールの音色が、
取り戻せない過去を哀しく彩ってます。
それと無線少年デルタの最終無線。物語の進行により無線内容が変わる
のですが、どれも空への憧れを電波にのせているわけで。
そんな少年の最後の無線は「引越するのでもう無線はできません」って内容。
誰からも返信のない電波を流す少年の最終無線に、飛行機乗り達が初めて
返信をするのです。
このイベントが起こるときはMizのテーマソングがフライトBGMで盛り上がりも
問題なし。(テーマソングはCMムービーなどで使用されていましたが、フライト
BGMとして聴いて初めてしっくりきました)
ムービーもないテキストだけのイベントなんだけど、時間経過によるメッセージ
の積み重ねと間の使い方が実に上手くて、キャラ絵すらないキャラクタが
盛大にふくれあがった瞬間でした。
最後の無線によってデルタは勇気をもらったんだなぁとか、飲んだくれだろうが
なんだろうが、飛行機乗りは気持ちの良いやつらがそろってんじゃねーかとか
色々妄想しまくりですよ。
ミランダとデルタのイベントは涙でたなぁ。物語本筋でこれができてれば
良かったんですけどね、ええ(笑)
エメリウスvsデュンケルラストバトルは燃え所。セーブデータをロードして
2度観た。デュンケルがエメリウスのゾーン刀に、自刃を滑らせて攻め入る
ところは本当にかっこいい。あと月をバックに自らも鬼へと堕ちるところ。
ここはバックホーンを妄想するぐらい盛り上がりました。いやまぁ、ここいらは
私の燃えツボにはまっていたから盛り上がったのかもしれんのですが。
まぁデュンケルは女に我が儘ぶっこいたうえに犬死になんですけどね(笑)
背景CGは本当に綺麗です。気に入っているのはアークリフと飛竜の谷。
アークリフは全景も好きなのですが、神殿広場の光り加減も雰囲気が出て
いました。荘厳な宗教施設でありながら人影は少なく暗い。神人を閉じこめる檻
を感じられるいい絵です。
飛竜の谷は強い風に雲が薄く鋭く流れているのが美しい。
キャラクタもいい味出してる瞬間ってのはちゃんとある。ユウキは飛行機バカなんで、
飛行機のことになると周りが目に入らなくなるきらいがある。初シュミットガレージで
のアルフィナ置いてけぼりっぷりは上手いなと。こうなるだろうなぁ、こうなるよなって
納得できて、ユウキの一途さがよくわかるところでした。
グランディア3の感想をまとめると、情報伝達部分がうまく機能していない
ために、多くのものが死んでいるといったところでしょうか。実に残念です。
あれこれ文句を言いましたが、補完されることがあったら私は喜んでお金を
出します。話しやキャラは気に入っているのです。
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