零の軌跡感想
発売から2ヶ月、80時間弱かけてやっとこクリアしましたよ。普通に解いて
約60時間とのことですが、あれこれやってて20時間ほどオーバーしてます。
ゲームを進めても物語の本筋が始まっていない気がして「この先どうなるんだ」
という引きが弱い印象でした。ですがうっかりネタバレを見たときの己の落胆具合
から、どれだけ世界に引き込まれていたのか気がつきましたよ。
面白かったです。
軌跡シリーズのシステム(依頼をこなす)はプレイヤーの「一息つきどころ」が多く、
のんびりと進められる地味なゲームではあるのですが、気がつけばキャラクターに
愛着を感じ行く末が気になり、あまつさえ妄想ぶっこいてる自分がいて知らない
うちにはまっているという沼のようなタイトルでした(笑)
英雄伝説 零の軌跡 (通常版) 日本ファルコム 2010-09-30 by G-Tools |
確かに普通に遊ぶと60時間ほどでクリアできるかもしれません。携帯機で
60時間遊べるRPG。ちょっと突っ込んで遊ぶともう数十時間遊べて1周するだけ
では見られない要素がある。
基本的にはどこでもセーブ可能で、今日は時間がないから依頼を1つだけ
こなして終わろうという、進行上の手を止めどころも多数ある。
データの読み込み速度も早く、データインストールこそないもののストレスを
感じることなくプレイできます。
忙しいけれどRPGを遊びたいという方にもお勧めできて、なおかつコスト
パフォーマンスのよいゲームになっています。
相変わらず音楽がとてもよく、通常戦闘BGMすら燃えくる曲になっている始末。
初っぱなからギア全開でありサントラ予約した。軌跡シリーズは結局全部サントラ
買ってますわ。
物語はこれ1本で完結。
即席警官、落ちこぼれ、無駄飯ぐらいに寄せ集め、という感じに警察上層部
からお荷物扱いの特務支援課が、閉塞感溢れまくったクロスベル自治州に
風穴を開けられるか? というお話。昼行灯上司もついてきます。
公権力による逮捕権がある警察官が主人公ではあるものの、クロスベルの
警察は頼りにならないということもあって遊撃士のような正義の味方としては
描かれません。
キャラクターたちが抱える問題に折り合いをつけつつ成長していきます。
自分たちが生きてるこのクロスベルを変えたいんだ、という思いが主人公から
見てとれてなんだか新鮮。公務員が主人公だけありますね。
終盤への入りがマジ熱。なにこの燃えゲー。男性キャラが主人公だと軌跡
シリーズはこうなるのかぁ。音楽の良さも最高潮で本当に燃えた。最高です。
メインキャラ4人はなかなかに魅力的。
ロイドは弟キャラ被った陰獣です。ガイさん、あんたとんでもねぇ化け物を
育ててしもうたんやぁー! と絶望したくなるタラシっぷり。これが男女年齢問わず
なので、女ったらしというよりも人間タラシという感じだ。
そんな彼もエリィとの好感度を高めると普通の青年らしい反応をしてくるので、
エリィの柔らかさというのは打ち抜ける砂糖菓子の弾丸なのだなぁ。
作中乳が大きいと思われるキャラは多数おりますが、エリィという巨砲が
隣にいることに気づくべきですよ!
優等生キャラのエリィはその身体的特徴を指摘されて照れればいいと思うな!
というか、そんな彼女を想像するとたまらないのでした。作中そういうシーンを
挟むべきだったぜファルコム。もちろん遠藤綾さんの声つきでな。
ティオは感情が表にでないツッコミ役のロリポジションにいるものの、
その背景はヘヴィだ。彼女が色々な感情を表にだすシーンにはよかったねと
思わざるを得ない。
ランディは最初「こいつ途中で抜けそうだな」と思っていたキャラでしたが、
今作はちゃんと最後まで支援課メンバーで任務をこなせます。
武器のハルバードはデザインからしてかっこよく、そしてバトルシーンのSE、
アニメのタイミングがナイスすぎる。ちゃんと武器の重量、ランディの攻撃による
重さを感じられるアニメになっています。いいねいいねー。
普段ヘラヘラしてる彼にも抱える問題があって、意外な経歴にちょっと驚いた。
もう少しつっこんで聞きたいところでしたが、このへんは彼との好感度が高くないと
聞けないネタなのかもしれません。
前作のキャラクターたちも登場し、軌跡シリーズを遊んでいると「キャラのその後」
が垣間見えます。
空の軌跡から始まった「すみれ色の髪をしたあの子」との鬼ごっこに決着が
つきます。シリーズを遊んでいる方には是非とも見届けていただきたい。
彼女に関する一連のイベントには泣かされっぱなしでしたよ!
しかし彼女の過去イベントはPSP版では削られている部分があるとのこと。
PC版でしか表現できない厳しいものなわけで、これを知っているのといないの
とでは彼女に対する思い入れも違ってくると思う。ちょい残念だ。
彼女が声を上げて本気で泣けたってのが嬉しくてしょうがないんですよ。
いいところもたくさんあるのですが、こうだったらもっと好みだったかもと残念に
感じる部分ももちろんあります。
物語の構成としてはキーキャラをもっと早めに出しておいたほうがよかったんじゃ
ないかと思いましたし、依頼内容に主人公たちは警官なんだと思える工夫が
ほしかった。
キャラクター同士の関係はロイドを中心とした関係が放射状に繋がっていく
ばかりで横の繋がりが薄い。
スタッフは狙ってそう描写(あくまでもロイド個人が主人公)しているのだと思う
ものの、個人的にはもっともっと横の繋がりを感じて「チーム」としてのうま味を
味わいたかった。こいつらがライトスタッフだと感じさせてもらいたかった
なぁと。
メンバーはロイドの言うことにうなづく要員になりがちなのがな……
それぞれは魅力的なのに発揮され度が低いんだよね。私みたいなアホな
オタクはうっかり妄想こいて補完してしまいますが、そんなことをしなくとも魅力
むんむんってのを感じたいところ。
比較対象になるのが前作「空の軌跡」になってしまうのですが、あれはソフト2本
かけて物語を展開してうえにプラス3rdがあった。トータル3本かけてキャラクタを
描けたわけで、それとソフト1本分の物語とキャラの深みを比べるのはどうかとは思う。
思うんだが、空の軌跡はFC時点でももうちょっと上手くキャラを絡ませられていた
ように感じるんだよなぁ。
前作のキャラが出てきて残っていたエピソードの完結を見ることができたのは
いいけれど、「零の軌跡」という物語にその尺を割いてくれよとも思ってしまう。
物語のスケールも比べると小さいです。ですがそこは駆け出しの公務員が
主人公で、描かれたのはクロスベルにある「壁」に風穴を開けられたというとこ。
それを描くのにはちょうどいいスケールだと思うんですよね。
こぢんまりとはしてしまうんですけども、”多くの人に助けられて守ることができた
俺たちのクロスベル”という感じが出てたところはよかったかと。
クリア後に出てくるクロスベル街並みのスクロール画像に、強くそれを感じました。
ひとつの事件は終わったけれど残った謎は多く、続編も作ることができそうな
情報量。キャラ続行で続編が出るのなら是非とも遊びたいものです。
以下ネタバレ雑感。