感想というにはあまりにも”私の思ったこと”すぎて、もはや「自分の言いたい
ことをとにかく書きつづる何か」になった。
参考にできる度合いは著しく低いうえ長文です。
決定的なネタバレは折りたたんでおりますが、「こういうシーンがあるんだな」
ぐらいはわかってしまう書き方をしていますので、気になる方は自衛をお願い
します。
エヴォリミット感想
おそらくpropellerの東出祐一郎&中央東口コンビに期待するのは燃えエロゲ、
という方は多いでしょう。私も期待している部分です。
その点において、エヴォリミットではガツンとくるような極燃えはできなかった
のですよ。
盛り上がるところではそれなりに盛り上がったのでしょんぼりすることは
なかったのですが、燃えとして最大瞬間風速の数字はでなかったというところ。
だがしかしだ。
燃え以外に自分が見たかったものがそこにあった場合、「それだけじゃ
ないだろう」と言わざるを得ない。
私は常々男女の愛情よりもまず、絶対的な信頼があるふたりを書いてる
ものはないかなぁと思っていました。
男性とタイマンはれるボンクラ設定がある世界だったら、男の背中に手を
添えて応援するのではなくガチで背中守らせてくれよとも。
それか女性キャラの背中を男性キャラが守る。そう思っていました。
そうしたところにエヴォリミットの不知火義一と一条雫というキャラが出てきた。
そこには私が見たかったものがあったわけですよ。
キャラ造形が見事だったこともあって、悔しくなるくらいパーフェクトですよ
このやろう。
不知火のバカっぷりと雫のツッコミはもはや夫婦漫才。いちゃこいた関係が
生ぬるく感じるくらいの信頼感。
お互いに背中を守りあっていて同じところで同じものを見て目指してる。
ふたりでだったらどこまでも行けて、何があっても乗り越えられるだろうという
関係の先にあるラストだったので、バカバカしいまでに大きなスケールも
含めて”こいつらならそうなっちゃうよなぁ!“と納得してしまった(笑)
近すぎて男と女にはなれない「異性である前におまえだろ」という間柄。
そこから動き出して変わっていく関係を、エヴォリミットはなかなか丁寧に
書いているんじゃないかと。
関係が激変する劇的ロマンチックイベントがあるわけでなく、日常で起こった
ちょっとしたことから少しずつ変化する関係がたまらなくむずがゆい!
そしてそこが最高なんだ!
雫ルートは乙女ゲーの香り。
雫、不知火両名の視点描写有りなのが功を奏してか不知火攻略ゲーに。
アプローチのかけかたも、好き好きビームだして押しまくってくる
“エロゲのアレ”ではなく、ちょっと手を繋いでみっか? とかそんなん。
(この一連のシーンはCGもすばらしく、大好きなシーンです)
だいたい「一緒に風呂でも入るか」という冗談において、意識した反応を
返してしまうのはヒロインの役だろ?! なんで不知火が挙動不審に
なってんだよw 冗談をかますのは雫だし、どう見ても不知火がヒロインです。
何よりも不知火に背中を守ってもらえます。不知火が待っててくれます……
ラベンダーの香りを嗅いで時をかけちゃった少女がいましたが、乙女ゲー臭
嗅いで別のジャンルへかけちまったかと思ったw
雫ルートやっててたまらなくなりすぎて雄叫びあげた日記はこちら。
一条雫というキャラを、よくエロゲヒロインにしたなぁと思います。
男性受けを考えるのなら異性を意識させるような媚びがあったほうが、
ヒロインとしての保険が利くような気がするので。
甘い語尾や仕草、料理がうまいとかスタイル抜群とか。設定や服装もですね。
雫にはそういったディフォルメされた女性記号が強調されておらず、
そのせいなのかあまり女の匂いがしません。(生々しい女の匂いは別枠な)
じゃあ男なのか、かわいくないのかというとそんなことはなく、むしろどの
キャラよりもかわいいくらいなんだよね。デレたらベロベロだったり女性らしい
というギャップ萌えが仕込まれているわけでもないし、どこまで行っても
一条雫は一条雫でしかない。でもちゃんとかわいいと思える。
雫はヒーローとして書いてる(部分がある)んじゃないかなぁと。
顔面流血しながら歯ァ食いしばって立ち上がり、待たせたなってヒロインの
やることじゃないだろーw 雫はバカ少年漫画のヒーローができると思います。
バトルヒロインだって他にもたくさんいるのに、雫と不知火のコンビには
新鮮さがありました。
コンビカップルでも主人公男子が”ヒロインを守りたいんだ”と言い出すことが
多いように思えるのですが、不知火と雫にはそれがない。
東出エロは非日常シーンであるエロどころでふと、素に戻るようなところが
気に入っています。そこがくすぐったくていいんだなぁ。
そんな素に戻るエロを雫ルートではみっちりと体験できます。
他ヒロインよりも割合高いw
でもって雫役波奈束風景さんのお口でご奉仕演技がいい。ちょういい!
吐息が、吐息がたまらん!
じゅるじゅるちゅっぱーだけだどつまらんのだけど、こう、息を吐く音吸う音が
入ってていいんだな。派手濃いちゅぱ音じゃないから余計ひきたつ。
嚥下するような喉の鳴りもいい。ここが、ここが重要なんですよ!
凛々しさがあって(漢ですわ)それでいてやはり女性と思わせる、すばらしい
さじ加減。
が、正直最初は女性人気は出ても男性人気なんざ出ないと思っていた(笑)
主人公の不知火義一はむっつり(オープン?)スケベで馬鹿で明るいという、
ナイスな変態キャラ。
なんだか隣にいる親しみやすい兄さんという感じで、普通だなと思えてしまう。
そんななんですがこいつがくせ者だった。
ツナミと一緒にいるときの兄ちゃんっぷりがまずよくて、ツナミが見た不知火の
背中がやたらかっこいいんだ。あれは間違いなくヒーローの大きな背中だなぁ。
そして雫とふいに男女として接近してしまい、お互い流されそうになった
瞬間に最大瞬間風速をマーク。
雫との仲を丁寧に書いているものの、他ヒロインとのエロ突入状態を
考慮するに、そろそろキメるのではあるまいか? という時間帯だった。
しかしですね、ここで不知火は耐えちゃうんですよ! 自分から流れに
逆らっちゃうんですよ!
なにこのかっこよさ。
ええええええ、お前エロゲ主人公だろ? ここは流されるよな普通?
やっちまった後で相手もまんざらじゃなかったとわかって無問題、という
エロゲ展開が来るかと思ったら、不知火は頭を冷やしに飛び出すという行為に。
流されてしまったら関係が大きく変わる。それが怖いというのが理由にあるん
だろうけれど、それだけじゃないように見えてしまった。
どうしようもなく一条雫とこの関係が大切だから、全てを壊す通り魔の
ようなこの瞬間を振り切ったように。
バトルで根性見せるとか、生き様の渋さやかっこよさを見たときとは違う、
別の回路がフル回転。
あっれ? 私いまきゅんきてなかったか?
いやそんないくらなんでも。勘違いだ勘違い。
……こんなバカぼんがかっこいいとかうおおおおおお認めねぇええええええ!!!!!!!
が、雫が己の有り様に迷いを抱いたときにかける、大声での「大好きだー!」
で試合終了のゴングが鳴ったw
負けた。負けたよこんちくしょう。
不知火はバカでスケベなことばかり言ってるくせにその実純情で、ヘラヘラ
しててもやるときはやる男なんだよなぁ。
そのうえ「今この瞬間この言葉をもらえたら」という時を外さない。
女なんだからっていう特別扱いをしない(特に雫ルート)。でもちゃんと
異性として意識してくれる。
こいつぁ惚れる。
ヒロインがノックアウトされるのも無理ない。
ツナミの初恋っぽいのも無理ない。
むっつりだろうがオープンだろうが変態だろうが、不知火のキャラだったら
許せてしまうんだよなぁ。あれだけ喜ばれたら無理難題も聞いてしまいたく
なるだろー。
不知火はナチュラルボーンたらしやで? こいつはずるい男だぞ(笑)
不知火と雫、そしてツナミの3人が一緒にいるところが好きです。
ツナミはかわいいし、なによりもこの3人の間にある空気がいい。
リーティアに対する兄姉態度はリーティアの妹キャラ分を引き立てるために
あるけれど、この3人は家族っぽい。
火星開拓時代メンバーがからむ話はどれも面白く、なによりもキャラたちが
活き活きしていていいですね。
過去話なんかは何もないところから初めてやるぜ、というフロンティア
スピリットが熱い。
カラミティモンキーズのみなさんはいい味してるんですが、ルートに
よってはあまり活躍しないな。
不知火に個人的な恨みを抱いているファントムキラーのみ、全ルートで
何かしらの見せ場があります。
リーティア、カズナは外さないヒロインポジション。
大きく奇をてらったところはありませんが、安心のかわゆさといえましょう。
リーティアルートからのみ、アクアを含めた展開があります。
アクアはよわよわですぅになってしまうと好みから外れるなぁ。
リーティアはいつもの東出ロリ。東出ロリはエロに積極的で複数人プレイに
からんでくる率100%だ(笑)
彼女のルートは「お前が三角関係の頂点のひとつかよ?!」という展開が
待ち受けております。
カズナは「Sっ気のあるお嬢さんをテンパらせるのって楽しいよね!」という
星の下に生まれてきているなw
白くてほわほわしててマジ天使って容姿なのだけど、彼女が一番輝いて
いるのは黒くなってる瞬間と阿修羅状態、レナートとバトっているところだと
思います。阿修羅CGは使徒喰ってるヱヴァを思い出すわw
彼女のルートは全員一丸となって災害と戦うルートで、火星に生きる人々の
活躍が熱いんですよね。子供を助けるためにみんなで協力するというシーンが
あるのもここじゃなかったかな?
私情を交えたり誰かを贔屓してはいけないと育てられてきた公僕が女の子で、
そんな女の子をヒロインに据えてエロゲ枠で描かれるとこうなるのかとニヤニヤ。
全員で災害と立ち向かうとかニヤニヤ。右腕を失った過去とかニヤニヤ。
まったく関係がないとは思っていても、邪念の籠もった視点が混じると
ニヤニヤできる設定に。
こんな見当外れの楽しみ方はたぶん私しかしてないし、作ったほうも
そんなつもりは1mmたりともないだろう。申し訳ない。
カズナが出てくるともれなく市長秘書のレナートの出番もついてくるといった
具合で、こいつが案の定ただの黒ショタじゃなかった。
啖呵切るシーンはどれもスカっとするシーンでかっこいいところが拝めます。
レナートはカズナの幸せを気にかけていたり、秘書として働くのはカズナと
彼女が認める者のみと決めているんですよね。
普段ぎゃんぎゃんやってても、レナートはカズナを慕ってて認めてる。
正直不知火×カズナよりレナート×カズナのほうがツボなんだよなぁ。
いやいや、エロゲでメインヒロインが脇キャラとくっつくとか地雷扱いになるし、
なによりも雫ルートで男女としての思慕は否定されるんですが。
コンビとしても魅力的なふたりだなと。
元々体験版よりカズナとかアクアはレナートとのやりとりがあると面白いなぁと
思っていたので、本編でもいいやりとりを見ることができて満足しています。
3人のメインヒロイン全員、立ち絵はともかくイベント絵にすんごい綺麗な
CGがあります。
エロシーンはとくに美人度あがる。瞳がえらく綺麗なんだ。弁天様よなー。
そして全員いい味出してるジト目絵持ち。
今回はギャグが冴えてて面白かった。パロディ満載で好き嫌いがわかれる
かとは思いますが。
私自身パロディと気づかないで笑ってたところがあるんじゃないかなぁ。
究極超人あ~るネタとかワルキューレな鼻歌させながらレナート登場
させたときはもう、ほんとpropeller馬鹿じゃないかと。最高だが!
ライターさんのにやにやするような恋愛描写は、Bullet Butlersからこっち
高速で進化の階段登ってます。いやもうこれ、なんかおかしいだろ……
ほんとどうなっちゃってんだ。
そんでもってどのヒロインも結婚結婚いいおるw なんぞこれw
火星では学生にも収入があるから、結婚に対する意識が現代地球とは
違うんだろうか。
バトルは試験バトルが気に入っています。どうなるどうする?! とドキドキし
ながら読みました。
火星での学園生活がメインではないので、そこに期待して遊ぶゲームでは
ないですね。
驚いたのはキャラ同士が話をしているうちに時間経過、というくシーンで、
キャラクタの背景が夕方から夜に変わるところ。
他のタイトルではすでにやっていることなのかもしれませんが、こんなのに
遭遇したのは初めてだったので感動すら覚えたな。
あとAキャラのセリフの上にBキャラのセリフがかぶったり。
なんてことのない描写なのかもしれませんが、これがなかなかにいい。
こういった演出が入るところはわずかなのですが、続けていってほしいなぁ。
声優の演技はみなさんすばらしく大満足。
「このセリフを繰り返し聞きたい」というがためのセーブポイントを、いくつか
作りましたさ。
システムは過不足なくそろっていて動きも軽快です。
ただ今回は既読判定に難があるようで、私の環境ではエンドを見たあと
最初から始めると、既読部分をスキップできませんでした。未読として認識
されているのか? けれどもセーブデータで2周目を始めると普通に動きます。
エンドやCG達成率は正常にカウントされているみたいで、そこに支障は
ありませんでした。
現在公式から修正パッチが出ているので、これから遊ぶ方は修正して
おいたほうがいいです。
音声は一部キャラの声が聞き取りにくかったな。
キャラ別にボリューム調節できるのですが、叫んでるところと小声で語る
ところに差があるので調節が難しい。
音楽もクリアしたあとだといい曲そろってるなーという印象。
「この音楽が出たら盛り上がるしかねぇよ」とまでなった曲はなかったものの、
シーンと合わせて聞くと曲のポテンシャルが発揮される、といったところ。
ただエンディング曲にはピンとこなかった。曲自体が気に入らないというわけ
ではないのですが、エヴォリミット各ルートのエンド後には、もうちょっと
「物語はこれでおしまい」的な気分になれる曲を聞きたかったんだな。
エヴォリミットは作中の展開についていけないとかの不満は覚えはなく、
値段分きっちり楽しめました。
まぁつっこみをいれたくなるようなのはあったし、魂震えるほどの極燃えは
なかったので、燃えはあるけれど燃焼しきれなかったのは違いない。
燃えゲーには勢いで押し切るだけの熱さがほしいものですが、その熱さは
なかったなぁ。
面白かったけれどいささか大味、といったところでしょうか。
ですが極燃えはなくとも見たくてしかたがなかったものを拝めたわけで、
私にとっては代替えのきかないタイトルです。
そしてその理由は私にしか価値のないものなんですよね。
だから感想というよりも「語り」に近い内容になりました。
初回限定版にはサントラ、ドラマ2本を含むおまけCDがついています。
通常版はパッケージ絵が変わっておまけなし。そのぶんお求めやすい
価格になっています。
以下雑感。
こちらはネタバレあります。
詳細を見る
◆ラスボスとの決着のつけかたが「提示して説得」というのは面白かったなぁ。
お互いの信念ぶつかりあってねじ伏せるのではないため燃え度としては
いまひとつなものの、ラスボスの性質もあってかこんな決着でもいいかな
という気がした。
◆ラスボスは性質悪い。自分が何をやっているのかわかっていて、なおかつ
自分の求めるもののために犠牲にしてきたものを本気で残念がってる。
でも止められない止まらない止めるつもりもない。
どうしようもない自己中なんですが、こいつの話を聞いていると「まぁそう
なっちゃうよなぁ」と納得してしまうやばさ加減。
こいつは質悪いな。相手にしたくないw
◆そんなシャノンさんも不知火が登った進化の階段を、あっさり降りてった
のにはびっくりだっただろう。
リーティアルートのシャノンさんポカーン、私もポカーン。
いやだって降りられるとは思ってないじゃんよ。
◆雫ルートの火星帰還エンドラストCGが好きです。
冒頭で宇宙服を着たまま火星の空を見上げていたふたりのCGとリンク
してるんですよね。
移民1弾目として火星をテラフォーミングしにきた時と同じ構図ですが、
あの時とは違って宇宙服を着ず、そして手を繋いでいる。
最初に火星の空を見上げたときとは変わったふたり。でも根っこのところは
あの時のまま同じ、という絵になっていて好きだ。
◆しかし雫ルートのエンドとしては、悠久の時の果て再会エンドがたまらなく
せつなくて捨てがたい。
雫に全てを押しつけてしまう選択をしたものの、文明が滅び星に生きる
生物が変わるほどの時間をかけて、結局不知火は雫と同じところまでたどり
着いてしまったんだなぁと。
雫も不知火も「神話」に登場する「何か」でしょう。同じところにたどりついて
しまったんだと、私は解釈しました。
ひたすらに待ち続けたってのもせつないのだけど、不知火がシャノンと
同じように匣内部から外界に干渉したっていうのがまたせつねぇ。
ココロがいなかったら狂ってるレベルのプチシヴィライゼーションだ。
この匣内時の不知火だけで、ひとつの物語ができるよなぁ。
◆雫が己が端末種だと知ったあとの苦悩は、もう少し時間をかけて
読みたかったなぁと。
端末種とわかってから解決までがあっという間だった。
まぁ男女の仲になる前に絶対的な信頼があるから、んなもんあっても些末な
問題だと言われればそうなんだが。
◆東出ゲーは「困ったお兄ちゃん」登場率も100%だな。
ある意味どうしようもなくお兄ちゃんゲーと言える。
今回はその枠にファントムキラーがエントリー。困ったお兄ちゃんっぷりは
他キャラに負けてないよなぁ。
◆そんなお兄ちゃんは雫ルートでようやっと目が醒める展開に。
ここ熱くて好きな展開なんですけど、雫の苦悩と一緒であっちゅう間に解決
してしまうんだよなぁ。もうちょいタメがあったら極燃えになったかもしれん。
だもんで不知火&雫ペアとの共闘には、やや乗り遅れ感がありました。
◆ココロはかわいいなぁ! 彼女も間違いなく不知火のパートナーだなと。
不知火が「彼女(ココロ)とふたりで勝ち取った夢だ」的セリフを、ファントム
キラーにぶつけるシーンはいいですね。
お兄ちゃんは涙目だが。
◆でもココロといいツナミといい、ルートはともかくエロシーンがほしいとは
思わない。まぁ見せ方にもよるとは思うんだが。
ツナミなんかはとくに不知火の手によって女にしたくないポジションにいる
キャラなんだよなー。
成長して他の誰かと恋愛しているのを眺めたいという気にさせられる。
そしてそれを全力で応援したい(笑)
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